投稿日: 2026-08-28
先日、アチーブメント株式会社の「リードマネジメント スタンダードコース」を2日間受講しました。
今回の研修では、組織づくりや人材育成について学ぶとともに、私自身がこれまで大切にしてきたリーダーシップについて、改めて振り返る機会となりました。
私は歯科医師になる前、海上自衛隊でP-3Cの操縦士・機長として勤務していました。
そこで長年学び、実践してきたのが、
「指揮・管理・統率・CRM(Crew Resource Management)」
という考え方です。
航空機の任務は、一人の優秀な人間だけでは成り立ちません。
それぞれ異なる役割を持つクルーが目的・任務を共有し、必要な情報を伝え合い、お互いの強みを活かし、弱みを補い合うことで、初めて安全に任務を遂行することができます。
特に大切にしていたのが、
「誰が言ったかではなく、何を言ったか」
という考え方でした。
たとえ経験の浅いクルーであっても、何かに違和感を感じたのであれば、それを伝える。
機長には最終的な責任がありますが、「機長だから常に正しい」わけではありません。
一人ひとりが必要なことを伝えられることが、チームを守り、より良い判断につながります。
私はこうした経験から、院長になったときにも、組織づくりにはある程度の自信を持っていました。
しかし、実際の歯科医院でのチームづくりは、思っていたほど簡単ではありませんでした。
今回の学びを通して、その理由の一つが少しずつ言葉になってきました。
海上自衛隊には、私が入隊するずっと前から、任務、規律、教育、訓練、役割、共通言語など、チームとして活動するための「土壌」がありました。
一方、院長となった私は、その土壌そのものを一からつくる立場になりました。
そして、もう一つ大きな気づきがありました。
私はこれまで、
「どうすれば人と組織がより良く動けるのか」
については、多くのことを学んできました。
しかし、
「人は、なぜ自ら動こうと思うのか」
という、人そのものへの理解については、まだ学ぶ余地があったのだと思います。
そこで現在学んでいるのが「選択理論」です。
選択理論では、人は外側からコントロールされて動く存在としてではなく、それぞれに願望や欲求があり、その人自身が行動を選択している存在として捉えます。
この人間観に立つと、リーダーの役割も少し違って見えてきます。
「正しいことを伝えて、人を動かす」のではなく、
相手を知り、信頼関係を築き、目的を共有し、その人自身が「こうなりたい」「この仕事をしたい」「このチームに貢献したい」と思える環境をつくること。
それが、これから私が目指していきたいリーダーシップです。
今回の学びは、海上自衛隊で学んできたリーダーシップを否定するものではありませんでした。
むしろ、
指揮・管理・統率・CRMという、これまで大切にしてきたものを、「選択理論」という別の人間観からもう一度組み立て直す。
そんな2日間だったように感じています。
海上自衛隊時代から、私が大切にしている言葉があります。
「操縦は人格である。」
優れた操縦技術や知識だけでは、良い機長にはなれません。
どのように判断するのか。
仲間の声をどう聴くのか。
責任をどう引き受けるのか。
そして、自分自身がどのような人間として仲間と関わるのか。
今では、この言葉は操縦だけに当てはまるものではないと感じています。
人を動かす技術を磨く前に、自分自身がどのような人間として相手と関わるのか。
院長として医院を率いる現在も、変わらず大切にしたい問いです。
機長から院長へ。
仕事は大きく変わりましたが、私が追い続けているものは、もしかすると変わっていないのかもしれません。
人を信頼すること。
一人ひとりが持っている力を発揮できること。
必要なことを安心して伝え合えること。
お互いの強みを活かし、弱みを補い合えること。
そして、同じ目的に向かってチームの力を最大限に発揮すること。
それは最終的には、スタッフのためだけの組織づくりではありません。
一人ひとりが主体的に考え、互いに支え合いながら力を発揮できるチームになることは、患者さんに、より安全で質の高い歯科医療を継続して提供することにつながると考えています。
そして、私たちが目指しているのは、歯を治すことだけではありません。
患者さん一人ひとりが健康を守り、安心して、その人らしい人生を歩んでいけるよう支援すること。
さらに医院の中だけにとどまらず、選択理論やファミリーコーチングなどの学びも活かしながら、地域の方々のより豊かな人生にも貢献できる存在を目指していきたいと思います。
そのためにも、まずリーダーである私自身が学び、成長し続けること。
「操縦は人格である。」
この原点を大切にしながら、これからもスタッフと共に、より良い医院づくりを続けてまいります。

