投稿日: 2026-10-25
先日、アニメ『FX戦士くるみちゃん』を観ていて、とても興味深いことを学びました。
それは、人間が持つ「損失回避」という心理です。
損失回避とは、一般に、同じ大きさの利益と損失を比較したとき、利益を得る喜びよりも、損失を被るつらさを強く感じやすい傾向のことです。
作中では、FX取引で大きな損失を抱えた主人公が、強制ロスカットを避けようとして、親のタンス貯金まで取引口座に入れてしまう場面がありました。
「ここで損失を確定させたくない」
「これまで費やしたお金を無駄にしたくない」
そんな気持ちが、結果としてさらに大きな危険を招いてしまうことがあります。
これは、損失場面で危険な選択に傾く心理や、過去に費やしたお金や時間に判断が引っ張られる「サンクコスト効果」とも関係しています。
私は、この場面を観ながら考えました。
これは、お金の話だけではないのではないだろうか。
仕事でも、勉強でも、夢への挑戦でも、私たちは同じような心理に陥ることがあるのかもしれません。
私には、人生の中で大切にしている想いがあります。
「人生にとって大切なのは、テクニックでも素質でもない。最後の最後まで決してあきらめない、不屈の闘志。」
もちろん、技術や才能、適切な努力の方法も大切です。
それでも、困難に直面したとき、自分の可能性を信じて挑戦し続ける姿勢を、私は大切にしたいと思っています。
しかし、今回のアニメをきっかけに、一つの疑問が生まれました。
「あきらめずに努力すること」と「過去の努力に執着すること」は、何が違うのだろう?
一見すると、どちらも同じように努力を続けているように見えます。
でも、その判断の根拠には、大きな違いがあるのかもしれません。
ちょうど同じ頃、私が学んでいるマスタープログラムでは、「代価の先払い」という考え方について学びました。
印象に残ったのは、山登りのお話です。
ある男性が、山頂からの景色を見るために山を登り続けます。
しかし、いくら登っても頂上が見えません。
疲れ果てた男性は、途中で引き返してしまいました。
ところが、実はそのすぐ先に、山頂があったというお話です。
この物語から、成果が見えない時期にも必要な努力を続けることの大切さを学びました。
勉強も、技術の習得も、医院づくりも、取り組んだその日に成果が出るとは限りません。
成果を得るためには、先に時間や努力を費やさなければならないことがあります。
しかし、ここでもう一つ、大切なことに気づきました。
物語を聞いている私たちは、頂上がすぐ先にあったことを知っています。
でも、実際に山を登っている本人には、それが分かりません。
現実の人生では、努力を続ければ必ず成功するとは限りません。
だからこそ、目標に向かって努力し続けることと、現在の方法が本当に効果的なのかを見直すことは、分けて考える必要があるのだと思います。
私は以前、海上自衛隊でパイロットとして勤務していました。
飛行機を着陸させる際には、安全に着陸できる状態であることが重要です。
着陸に向けて進入していても、安全な着陸が難しいと判断した場合には、「進入復行(ゴーアラウンド)」を行います。
着陸をいったん中止し、再び上昇して態勢を整える操作です。
これは、決して目的地への到着をあきらめることではありません。
安全という大切な基準を守りながら、目的を達成するために方法を見直す判断です。
どれだけ着陸の準備を重ねていても、どれだけ目的地に近づいていても、安全な着陸ができないのであれば、無理に着陸を続けるべきではありません。
この考え方は、人生のさまざまな場面にも通じると思います。
目標を大切にすることと、今の方法に固執することは違う。
今回の学びを通して、パイロット時代に身につけた考え方が、改めて自分の中でつながりました。
この考え方は、現在のえだ歯科医院での取り組みにもつながっています。
例えば、歯科衛生士が新しい技術を習得するとき。
最初から思いどおりにできるとは限りません。
何度も練習を重ね、少しずつ技術を身につけていきます。
そのとき大切なのは、すぐに結果が出ないからといって、簡単にあきらめないことです。
一方で、同じ方法で練習を続けても改善が見られないのであれば、指導方法や練習方法を見直す必要があります。
別のインストラクターから助言を受ける。
練習する課題を小さく分ける。
一度基本に戻って確認する。
そうした工夫は、決して後退ではありません。
成長という目標を大切にしているからこそ、方法を変えるのです。
また、患者さんとの関わりでも同じことが言えると思います。
私たちは、患者さんの健康を守り、育てることを大切にしています。
しかし、患者さんの生活環境や価値観、健康状態は一人ひとり異なります。
医療者が考える方法を一方的に押しつけるのではなく、必要な医学的情報をお伝えしたうえで、患者さんが何を大切にしているのかを理解し、一緒に実行可能な方法を考えていきたいと思います。
取り組みがうまくいかなかったときにも、責めるのではなく、何が難しかったのかを一緒に振り返る。
そして、より良い方法を探していく。
大切な目標を見失わず、その実現方法は柔軟に考える。
そんな関わりを大切にしたいと思っています。
今回の学びを通して、「勇気」という言葉についても改めて考えました。
努力を続けることには、勇気が必要です。
しかし、これまで続けてきた方法を変えることにも、勇気が必要です。
ときには、いったん撤退することが、次の挑戦につながる場合もあります。
私の人生理念は、**「愛・真勇・成長」**です。
今回、「真勇」という言葉の意味が、また少し深まったように感じました。
私はこれからも、自分の夢や目標を簡単にあきらめたくありません。
同時に、過去に費やした時間や努力だけを理由に、効果の乏しい方法を続けることにも気をつけたいと思います。
そんなとき、自分自身に問いかけたい言葉があります。
「今から初めて選ぶとしても、この方法を選ぶだろうか?」
そして、
「私は何を実現したいのだろう?」
という原点にも立ち返りたいと思います。
今回、アニメ『FX戦士くるみちゃん』をきっかけに、人間の意思決定について学び、マスタープログラムでの学びやパイロット時代の経験と結びつけて考えることができました。
学びのきっかけは、本当にさまざまなところにあります。
アニメからも、心理学からも、日々の仕事からも、過去の経験からも。
大切なのは、そこで得た気づきを、自分自身の行動につなげていくことなのだと思います。
夢は、簡単にあきらめない。
でも、夢を叶える方法には執着しない。
願いには誠実に。方法には柔軟に。
これからも、えだ歯科医院は、患者さんの健康を守り育てるという理念を大切にしながら、日々の診療やスタッフ教育を振り返り、より良い方法を考え続けていきます。
私自身も、学び、挑戦し、成長し続けたいと思います。
えだ歯科医院
院長 吉田 幸司
