投稿日: 2026-11-01
赤ちゃん歯科フォーラムで学んだ、生活習慣から考える予防歯科【第1回】
こんにちは。茨城県石岡市のえだ歯科医院、院長の吉田です。
先日、赤ちゃん歯科フォーラムの勉強会に参加し、赤ちゃんのお口の発達や、子どものむし歯予防について学んできました。
今回、特に印象に残ったのが、「むし歯菌がうつること」と「実際にむし歯になること」は、必ずしも同じではないという考え方です。
「赤ちゃんとスプーンを共有しない方がいいですか?」
「親のむし歯菌が子どもにうつると聞いたのですが、本当ですか?」
こうした疑問をお持ちの保護者の方もいらっしゃると思います。
実際に、むし歯に関係する細菌は、唾液などを介して人から人へ伝わることがあります。
以前は、親から子どもへの細菌の伝播を防ぐために、食器やスプーンを共有しないことが重視されていました。
しかし現在では、細菌が口の中に入ったからといって、必ずむし歯になるわけではないことが分かっています。
むし歯の発症には、細菌だけでなく、食事や飲み物、歯磨き、フッ化物の利用など、さまざまな要因が関係しています。
そのため、むし歯予防では細菌を「うつさないこと」だけにこだわるのではなく、むし歯になりにくいお口の環境を整えることが重要です。
※食器の共有については、衛生面への配慮は必要ですが、むし歯予防のためだけに家族間の食器共有を厳しく制限することが、必ずしも必要とは考えられていません。
私たちの口の中には、さまざまな細菌が存在しています。
食事や飲み物に含まれる糖を利用して、口の中の細菌が酸をつくると、歯の表面からミネラルが溶け出す「脱灰」が起こります。
通常は、唾液の働きなどによって「再石灰化」も起こっています。
しかし、糖を含む飲食物を頻繁に摂取することで、脱灰が繰り返され、再石灰化とのバランスが崩れると、むし歯が進行しやすくなります。
つまり、大切なのは、むし歯に関係する細菌が存在するかどうかだけでなく、細菌が酸をつくりやすい環境になっていないかということです。
例えば、普段の水分補給について考えてみましょう。
水やお茶を中心に飲む習慣がある場合と、ジュースや甘い飲み物を少しずつ何度も飲む習慣がある場合では、歯が糖や酸にさらされる機会が異なります。
特に、甘い飲み物を長時間かけて飲む習慣は、むし歯のリスクを高める要因になります。
また、果汁100%のジュースであっても、糖や酸が含まれているため、むし歯予防の観点では注意が必要です。
米国小児科学会では、原則として1歳未満の乳児に果汁ジュースを与えないことが推奨されています。
日常の水分補給は、月齢に応じて母乳・育児用ミルクを基本とし、成長に合わせて水や無糖のお茶などを取り入れていくことが大切です。
もちろん、生活習慣を整えることだけで、すべてのむし歯を防げるわけではありません。
歯が生え始めたら、年齢に応じた歯磨きやフッ化物配合歯磨剤の使用も重要です。
また、定期的に歯科医院でお口の状態を確認し、その子に合った予防方法を考えていくことも大切です。
「食生活を整えること」と「歯磨き・フッ化物を活用すること」は、どちらか一方を選ぶものではありません。
それぞれを組み合わせることで、より効果的なむし歯予防につながります。
今回の赤ちゃん歯科フォーラムで、改めて考えさせられたことがあります。
それは、
「むし歯になってから、どうするか」ではなく、「むし歯になりにくい毎日を、どう育てるか」。
という視点です。
一度身についた生活習慣を変えることは、大人にとっても子どもにとっても簡単ではありません。
だからこそ、赤ちゃんの頃から、無理なく健康的な生活習慣を育んでいくことには大きな意味があります。
ただし、子育ての環境やご家庭の事情はそれぞれ異なります。
すべてを完璧にしようとする必要はありません。
今の生活の中で、できることを一つずつ考えていくことが大切だと思います。
えだ歯科医院では、**「健康を守り育てる」**ことを大切にしています。
私たちが目指しているのは、単にむし歯を治療することではありません。
患者さんやご家族が、ご自身の健康について理解し、より良い行動を自分で選べるようになること。
そして、子どもたちが成長したときに、自分自身の健康を大切にできる人になってくれることです。
赤ちゃん歯科の学びを通じて、歯が生えてからの予防だけではなく、その前からの生活や育ちにも目を向けていきたいと考えています。
これからもスタッフと一緒に学びながら、赤ちゃんとご家族の健康を守り育てる取り組みを、少しずつ形にしていきたいと思います。
次回は、赤ちゃんの身体の発達と「自分で育つ力」についてご紹介します。
えだ歯科医院
院長 吉田幸司
この記事は、2026年10月30日の赤ちゃん歯科フォーラムでの学びをもとに作成しました。一般的な予防歯科の情報を紹介するものであり、お子さん一人ひとりの診断や個別の指導に代わるものではありません。
