投稿日: 2026-09-25
前回の記事では、選択理論を学ぶ中で気づいた、
「責任とは、I have control. なのかもしれない」
ということについて書きました。
自分の人生の操縦桿を、自分で握る。
では、誰かと関わるときはどうでしょうか。
選択理論では、相手を自分の思い通りに変えようとするのではなく、相手の選択を尊重することを大切にします。
このことを学びながら、院長としてスタッフと関わる私は、一つの疑問を持ちました。
「相手の選択を尊重するなら、仕事の基準はどうするのだろう?」
歯科医院では、患者さんの健康や安全に関わる仕事をしています。
だから、
「本人がそうしたいのだから」
という理由だけで、必要な仕事の質まで手放すことはできません。
今回の学びを通して整理されたのは、
相手の選択を尊重することと、仕事の基準を下げることは別のこと
だということでした。
では、どう関わればいいのか。
そこで大切にしたいと思ったのが、まず、
「この人は、何を大切にしているんだろう?」
と考えることでした。
スタッフに成長してほしい。
患者さんに健康になってほしい。
どちらも相手を思っての願いです。
けれど、
「どうすればこの人を変えられるだろう?」
から始めてしまうと、善意であっても、いつの間にか自分が考える“正解”へ相手を近づけようとしてしまうことがあります。
だから、まず相手を知ろうとする。
何を大切にしているのか。
何を手に入れたいのか。
何に困っているのか。
そのうえで、私たちが専門職として大切だと考えていることも、率直にお伝えする。
聴くときは、本当に聴く。
伝えるときは、率直に伝える。
そして、
「では、あなたはどう考えますか?」
「一緒にどうしていきましょうか?」
と、もう一度その人自身に操縦桿を返す。
そんな関わりを大切にしたいと思っています。
歯科医療では、検査結果や医学的な根拠から、私たち専門職が「こちらの方が望ましい」と考えることがあります。
しかし、患者さんにも、それぞれの生活があります。
「できるだけ自分の歯を残したい」
「まず痛みを何とかしたい」
「治療が怖い」
「仕事や子育てがあって、通院できる回数に限りがある」
同じお口の状態であっても、大切にしたいことは一人ひとり違います。
だから、患者さんのお話を聴かずに、私たちの考える正解だけを押しつけるのでもない。
一方で、患者さんが希望されたことを、そのまま何でも行うのでもない。
患者さんが大切にしていることを知る。
専門家として必要な情報や考えをきちんとお伝えする。
そして、一緒によりよい方法を考える。
その両方が必要なのだと思います。
最近、リードマネジメントとは、
「優しくすること」でも、
「何でも相手に任せること」でもないのだと感じています。
聴く。
伝える。
委ねる。
そして、支える。
良好な人間関係と、高い仕事の質。
どちらかを選ぶのではなく、両方を大切にしていく。
スタッフとの関係でも、患者さんとの関係でも、そんな医院でありたいと思います。
そして、ここまで考えていて、ふと気づきました。
「あれ? これって、昔受けていたパイロット教育とそっくりだ。」
自分ではまだ修正できると思っているのに、教官から突然、
“I have control.”
と言われて操縦を取られる。
あの頃の経験が、今になって別の意味を持ち始めました。
次回は、**「優れた教官とは何だったのか?」**というところから、私が目指したいリーダーのあり方について書いてみたいと思います。
〈つづく〉
