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前回の記事では、選択理論を学ぶ中で気づいた、

「責任とは、I have control. なのかもしれない」

ということについて書きました。

自分の人生の操縦桿を、自分で握る。

では、誰かと関わるときはどうでしょうか。

選択理論では、相手を自分の思い通りに変えようとするのではなく、相手の選択を尊重することを大切にします。

このことを学びながら、院長としてスタッフと関わる私は、一つの疑問を持ちました。

「相手の選択を尊重するなら、仕事の基準はどうするのだろう?」

「尊重する」と「基準を下げる」は違う

歯科医院では、患者さんの健康や安全に関わる仕事をしています。

だから、

「本人がそうしたいのだから」

という理由だけで、必要な仕事の質まで手放すことはできません。

今回の学びを通して整理されたのは、

相手の選択を尊重することと、仕事の基準を下げることは別のこと

だということでした。

では、どう関わればいいのか。

そこで大切にしたいと思ったのが、まず、

「この人は、何を大切にしているんだろう?」

と考えることでした。

「どう変えるか」より、「まず知ろうとする」

スタッフに成長してほしい。

患者さんに健康になってほしい。

どちらも相手を思っての願いです。

けれど、

「どうすればこの人を変えられるだろう?」

から始めてしまうと、善意であっても、いつの間にか自分が考える“正解”へ相手を近づけようとしてしまうことがあります。

だから、まず相手を知ろうとする。

何を大切にしているのか。

何を手に入れたいのか。

何に困っているのか。

そのうえで、私たちが専門職として大切だと考えていることも、率直にお伝えする。

聴くときは、本当に聴く。
伝えるときは、率直に伝える。

そして、

「では、あなたはどう考えますか?」
「一緒にどうしていきましょうか?」

と、もう一度その人自身に操縦桿を返す。

そんな関わりを大切にしたいと思っています。

患者さんとの関係でも同じだと思います

歯科医療では、検査結果や医学的な根拠から、私たち専門職が「こちらの方が望ましい」と考えることがあります。

しかし、患者さんにも、それぞれの生活があります。

「できるだけ自分の歯を残したい」

「まず痛みを何とかしたい」

「治療が怖い」

「仕事や子育てがあって、通院できる回数に限りがある」

同じお口の状態であっても、大切にしたいことは一人ひとり違います。

だから、患者さんのお話を聴かずに、私たちの考える正解だけを押しつけるのでもない。

一方で、患者さんが希望されたことを、そのまま何でも行うのでもない。

患者さんが大切にしていることを知る。
専門家として必要な情報や考えをきちんとお伝えする。
そして、一緒によりよい方法を考える。

その両方が必要なのだと思います。

相手にも「I have control」がある

最近、リードマネジメントとは、

「優しくすること」でも、

「何でも相手に任せること」でもないのだと感じています。

聴く。
伝える。
委ねる。
そして、支える。

良好な人間関係と、高い仕事の質。

どちらかを選ぶのではなく、両方を大切にしていく。

スタッフとの関係でも、患者さんとの関係でも、そんな医院でありたいと思います。

そして、ここまで考えていて、ふと気づきました。

「あれ? これって、昔受けていたパイロット教育とそっくりだ。」

自分ではまだ修正できると思っているのに、教官から突然、

“I have control.”

と言われて操縦を取られる。

あの頃の経験が、今になって別の意味を持ち始めました。

次回は、**「優れた教官とは何だったのか?」**というところから、私が目指したいリーダーのあり方について書いてみたいと思います。

〈つづく〉